【コラボ企画・最終回】 日本の三大死亡原因の 2つが動脈硬化。 24時間ホルター心電図と 心臓エコー検査編。 |
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日本人の三大死亡原因はがん・心筋梗塞・脳血管疾患です。中でも心臓疾患(狭心症・心筋梗塞など)や脳血管疾患(脳卒中)は動脈硬化によって起こります。 というわけで、前回は編集部アラフィフ女史で折茂先生のクリニックへ伺い、まずは血液検査をしていただきました。 その結果を受けて、悪玉コレステロール(LDL)が高いことから、動脈硬化の有無、進行具合をチェックするために、前回は頸動脈エコー検査をしました。それぞれに動脈硬化が認められ、今後は3~6ヶ月おきに検査をしていただくことに。そして、編集部Nの自覚症状として胸の痛み・動悸、家族の心臓疾患既往歴(遺伝の心配)があること、また折茂先生のお話では更年期には心臓の血管が痙攣してしまう特殊な狭心症が起こり易い時期であることから、今回は24時間ホルター心電図と心臓エコー検査をしていただくことになりました。果たして結果は? |
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Q.
24時間ホルター心電図検査ではどんなことがわかりますか?
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不整脈の種類や頻度、狭心症発作の有無などを調べる検査です。
運動など、何かを行った際に出現する動悸などがある場合には、その関連性を確認することが出来ます。 |
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Q.
この機械の良さは?
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健康診断で行う心電図は記録時間が10秒程度ですので、その時に不整脈などが出ていなければ異常が分かりません。
一方、ホルター心電図は24時間記録するため、発作的に出る不整脈や狭心症の心電図変化を捉えるのに優れています。 |
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Q.
装着しているときに気をつけることは?
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特に制限はありません。
機器の装着で不自由もありますが、最近のものは防水機能がついている機種もありますので、入浴も可能です。むしろ、普段通りの生活をして頂くことで、どんな時に心臓がどの様な反応をするかが確認できます。 |
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Q.
検査結果はどのくらいで出ますか?
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機器の装着中に発生するノイズの除去が必要なため数日を要します。
こちらでは通常1週間後に結果をご説明しています。 |
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Q.
心臓エコー検査ではどんなことがわかりますか?
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心臓の働き(血液を送り出すポンプ機能)、心臓弁膜症の有無、心不全の程度などを確認します。高血圧症による心臓の負担や心筋症という遺伝的な疾患、お子さんの場合には先天的な心臓の異常など、構造的な異常の有無が分かります。
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Q.
一般的にNさんのような症状を訴えた場合、みなさん同じような検査がされますか?
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症状から疑われる疾患を推測して検査を行いますので、必要性に応じて検査内容が異なります。
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Q.
どのような症状や訴えがあると心臓エコー検査をしますか?
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弁膜症や心不全が疑われるような動悸や息切れなどの場合です。心雑音がある場合は弁膜症が疑われますので、自覚症状が無くてもエコー検査で確認します。また、胸部X線で心臓の影が拡大している場合にも行います。
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Q.
ホルター心電図・心臓エコー検査で何か問題があった場合はどんな治療がされますか?
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不整脈は種類・頻度によって治療の必要性が異なりますが、観察だけで良いものから服薬あるいはカテーテル治療が必要な場合もあります。狭心症の疑いがあれば造影検査が必要になり、結果によってカテーテル治療を検討します。弁膜症は重症度によって、経過観察から人工弁置換術まで段階があります。
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いざ、心臓エコー検査へ。 |
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検査は上着を脱ぎ、頸動脈エコー検査の時と同様、ジェルをつけたプローブを胸の周辺に当てる検査です。女性の臨床検査技師さんが丁寧にチェックしてくれます。恥ずかしさや痛みは全くありません。 |
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Q.
Nさんの検査結果の総評をお願いします。
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ホルター心電図では、心室性および上室性期外収縮をわずかに認めますが、危険性のない不整脈であるため服薬による治療の必要性はありません。また、更年期にみられる特殊な狭心症(冠攣縮性狭心症)の兆候は見られませんでしたので、胸の痛みの原因は心臓ではないと思って大丈夫です。
心臓エコー検査では、心臓の働きは良好でした。僧帽弁に逆流を認めましたが、軽度のため経過観察をお願いします。 今回認められた所見に変化が無いかどうか、念のため1年後にフォローアップ検査を行います。 |
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Q.
また、結果を受け、日常で気をつけること、特に心配しなくてもいいこと、薬の服用の必要性などあれば教えてください。
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急に病状が悪化するような結果ではないため、日常生活における制限の必要はありません。
一つ挙げるとすれば、飲酒は不整脈を増やしますので過度の飲酒にはご注意下さい。危険性の無い不整脈ですので服薬は必要ありませんが、動悸など自覚症状が強い場合は投薬することもあります。 動悸の自覚症状は非常に個人差がありので、気になる場合にはご相談下さい。 |
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Q.
最後にこんな症状がある時はどんな設備があって、何科を訪ねたらいいか教えてください。
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循環器内科を受診して頂きたい症状としては、動悸、息切れ、胸や背中の痛み、血圧が高い(あるいは血圧が変動する)、脈の乱れ、意識を失い倒れた、めまい、立ち眩み、足の浮腫みや冷えなどです。循環器科クリニックであればエコー検査やホルター心電図検査は行えますので、より詳しい検査が必要かどうか診察を受けて頂けると良いです。
高血圧症、糖尿病、脂質異常症がある方は、ぜひ頚動脈エコーで現在の動脈の状態を確認してみて下さい。 |
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編集部より、コンシダーマル世代の皆さんへ。 今回、更年期世代の編集部女史二人は折茂先生の明確な判断で、こうして循環器の検査を受けさせていただき、動脈硬化や不整脈、軽い弁膜症などを見つけていただきました。 自分の身体のことを知ることで、普段、何に気をつけたらいいのかがわかります。ご自身の体調が変わる年齢に差し掛かり、家庭ではそろそろ親の介護の心配や、社会では様々な問題を抱え、ストレスも感じやすくなる世代かと思います。 これまでの“教えて?折茂Dr.!”のアーカイブはこちら。 https://considermal.jp/category/dr/ |
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折茂 政幸
Masayuki Orimo ウェルネス宮前クリニック 院長 千葉大学大学院修了 医学博士 専門 循環器内科 ヒトの身体は自然の摂理に従っていると僕は考えます。 普段の食事や体を動かすこと、十分な睡眠と過度のストレスを避けることが健康にとってとても大切で、何気ない日常の積み重ねが普段の体調や病気のリスクに大きく影響します。 また、個々の特性、体質はそれぞれ異なりますから、他の方と同じ方法では改善しないことがあります。適切な医学情報をお伝えし、一人一人の体質に合った治療を目指しています。 |