[愛用者さまからのご相談]コレステロールの薬は飲むべき?薬の作用と副作用を教えて?

[愛用者さまからのご相談]
コレステロールの
薬は飲むべき?
薬の作用と副作用を教えて?

コンシダーマルご愛用者さまからのご相談。
54歳Mさん。

Q.毎年受けている健康診断の血液検査でここ数年、コレステロールが高めと指摘されます。
どうしてコレステロール値は上がるのでしょうか?薬を飲むことに少し抵抗があるのですが、薬を飲むべきでしょうか?
コレステロールの薬にはどんな作用がありますか?効果と副作用を教えてください。
A.コレステロールの上昇は将来的に心筋梗塞や脳卒中など動脈硬化による重篤な疾患のリスクを高めますので、そのままにせずにしっかり対策を立てておくことが大切です。年齢的にコレステロールが高くなるのには次のような原因があります。

①代謝機能低下:加齢により肝臓でのコレステロール代謝が低下するため
②脂肪摂取過多:食事中の脂肪分の摂取量が多い方の場合
③エネルギー消費の減少:年齢的に筋肉量が減少し、身体活動量も減少するため
④体重超過:体重が増加すると脂質バランスが崩れてしまいます
⑤ホルモンバランス:特に女性ホルモン(エストロゲン)の減少
⑥遺伝要因:もともと肝臓の脂質代謝に関わる酵素の働きによるもの

上記のうち、いくつかの原因が重複して存在する場合が多いです。

コレステロール値を是正する目的は将来的な動脈硬化の予防です。動脈硬化は進行するまで自覚症状が現れませんので、服薬すべきかどうか迷われる方は多いです。私の日々の診察でも同様な相談を受けることがあります。実は、数値としてコレステロールが高いかどうかよりも、実際にどの程度動脈硬化が進行しているかが重要になります。

実際の診療では頸動脈エコーを行います。頸動脈というのは、首の両側にあり脳に血液を送る重要な動脈です。一般的に全身の中で動脈硬化が起こりやすいという特徴もあり、動脈硬化を評価するのに先ず行う検査です。頸動脈が年齢相応より動脈硬化が進んでいる場合は、服薬を含めて積極的なコレステロール値の改善が望ましいです。

反対に、コレステロール値が高くても、何故か動脈硬化がほとんど起こっていない方も居ます。そのような方の場合はまず食事の工夫を相談して、定期的な血液および頸動脈エコー検査で経過を観察します。私の患者さんの中には服薬せず食事の工夫だけで動脈硬化が進行していない方も居ます。

服薬が必要かどうかの判断には頸動脈エコー検査を受けてみて下さい。動脈硬化の程度を実際に画像で見ると、治療への取り組みが明確になると思います。医療機関のホームページで頸動脈エコー検査を受けられるかどうか分かりますので、受診しようと思われる医療機関が見付かったらぜひ確認してみて下さい。

いくつか種類はありますが、代表的な薬にスタチンがあります。HMG-CoA還元酵素阻害薬と言って肝臓でのコレステロール合成を抑える薬剤です。血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)の低下効果が高く、心筋梗塞や脳梗塞などによる死亡率を減少させることが多くの研究(メタ解析)で示されています。特に、狭心症や脳梗塞などの疾患に罹った方には二次予防効果が明らかで服用が推奨されています。

この薬剤は肝臓で代謝されるため肝機能障害に注意が必要です。また、横紋筋融解症あるいはミオパチーといった筋肉に副作用が生じる可能性があります。どのような薬剤でも同様ですが、定期的な血液検査で副作用の有無をチェックしておくことが大切です。

服薬治療による重篤な副作用は非常に稀ですが、副作用が全く無いということはありません。服薬中の方は常に不安があるかと思いますが、主治医の先生は副作用の確認のために定期的な検査を行って下さっていると思います。気になる症状があれば遠慮なく先生に相談できる環境が大切です。ただし、副作用ばかり心配して肝心な予防が疎かになり、動脈硬化が進行して心筋梗塞や脳梗塞を発症しては非常に残念です。

適切な治療と検査を継続して、健康的な毎日を実現して下さい。

◆動脈硬化検査の模様はこちら
https://considermal.jp/beauty-navi/dr202210/
https://considermal.jp/beauty-navi/dr202211/

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折茂 政幸
Masayuki Orimo
ウェルネス宮前クリニック 院長
千葉大学大学院修了
医学博士
専門 循環器内科
ヒトの身体は自然の摂理に従っていると僕は考えます。
普段の食事や体を動かすこと、十分な睡眠と過度のストレスを避けることが健康にとってとても大切で、何気ない日常の積み重ねが普段の体調や病気のリスクに大きく影響します。
また、個々の特性、体質はそれぞれ異なりますから、他の方と同じ方法では改善しないことがあります。適切な医学情報をお伝えし、一人一人の体質に合った治療を目指しています。