第10回ゲスト 元ちとせさん

第10回ゲスト
元ちとせさん
「デビュー20周年。歌は楽しむためだけではなく、ときには大きなメッセージを届けることもできる。」
今年2月6日「ワダツミの木」でのメジャーデビューから20周年を迎える元ちとせさん。
奄美大島のシマ唄の伝承者として世界的にも認知され、これまで世界各国のアーティスト達と共演。
2013年にはジャマイカのアーティスト「Sly&Robbie」のアルバムに参加、翌2014年 第56回グラミー賞レゲエアルバム部門にノミネートされ、授賞式にも出席されました。
昨年、奄美大島が世界自然遺産に登録された事もあり、ますますその活動に注目が集まる元ちとせさんが今回のゲストです。
Q.メジャーデビュー20周年おめでとうございます。編集部も何度かライブにお邪魔させて頂きました。ちとせさん自身の神秘的な声や雰囲気もあるのでしょう、一曲一曲に宿る歌声のパワーを受けて、多くの方々が涙している光景を毎回見かけます。奄美大島に住み続けながらずっと第一線で歌い続けている20年。ご自身の中で歌に対して変化などありますか?

より丁寧に歌うことを心がけるようになりました。
デビュー当時は「体が覚えたことが鳴る」という感覚で歌っていましたね。
今は改めて歌う仕組みを勉強しているところです。
歌うときは無意識に集中しているみたいで、一度歌い終わるとその歌い方を忘れてしまうんです。
記憶がなくなるという感じ。
だからそれをボイストレーナーの先生やプロデューサーの方々の分析に沿って復習して意識的にできるよう練習しています。
今になってやっと学校に行っている気分です。(笑)


Q.奄美大島のシマ唄についてお聞かせください。どんな文化があるのですか?

「シマウタ」は「島唄」と思われがちですが、実はそうではないんです。
本当の表記は「シマ唄」。
自分たちの集落=シマ=なわばりという意味からきています。
集落(シマ)ごとに言葉、訛り、方言があって、同じ歌でもそれぞれ違うので、初めて聴くシマ唄でも「あのシマの人なのね」ということがわかります。
元々、三味線などの楽器を弾いて歌うことはありましたが、舞台で歌うというものではありませんでした。
いにしえから、シマの人たちがそこにある営みや暮らしを語り合い、合いの手を入れたりするうちにその会話がやがて娯楽として唄に発展していったんです。
だから生活と唄が密接に繋がっているんですよね。
例えば機織りの「シャッシャッ・トントン・シャー」というリズムに合わせた言葉がだんだん唄になって周りがお囃子を入れてゆく。
それがシマ唄という文化です。


Q.奄美大島のシマ唄は独特の歌いまわしですよね。

日本民謡で「ファルセット(裏声)」を使うのは奄美大島のシマ唄だけと言われています。
奄美には高い山々があって、その間にある集落の人たちへ声を届けるために山に向かって声を反響させる。
だから裏声(ファルセット)を使うようになったそうです。
各地の民謡もその土地の地形によって声の出し方が違って、例えば沖縄は高い山がないのでファルセットは使わなかったり、世界に目を向ければ広い平原が続くモンゴルでは、声を振動させて波動のようにより遠くへ届ける「ホーミー」という独特な歌唱文化もありますよね。
奄美のシマ唄はこぶしとファルセットがあるので海外で歌うと「ヨーデル」と言われます。(笑)


Q.さて、20年の歌手生活の中で印象に残ったことはありますか?

原爆投下から60年目の2005年、坂本龍一さんがプロデュースしてくださり、ニューヨークでレコーディングした「死んだ女の子」という曲があります。
その曲をニュース番組の中で歌うことになり、8月6日の夜中、日付が変わる時間に広島の原爆ドームの前で坂本龍一さんのピアノと共にパフォーマンスしたのは印象的でした。
歌というものは人が「平和について考える」きっかけを作る事もできる。
楽しむための歌だけでなく、ときには歌でメッセージを届けることもできる、そんな歌い手に自分はなりたいという意識が生まれた貴重な経験でした。
また坂本龍一さんやユーミン(松任谷由実さん)にも曲を書いてもらえたら嬉しいです。


Q.最後にコンシダーマル世代にメッセージを

女性は笑顔で心豊かに生きることがテーマだと感じています。
奄美大島の人は本当によく笑います。
だからきっと、とても長生きなんですよね。
ストレスは体に良くないですから。
よく歌い、よく笑う。これが長寿・健康で美しくいられる秘訣だと思います。
元 ちとせ さん
1979年1月5日生まれ 43歳

鹿児島県奄美大島出身。

2002年に『ワダツミの木』で鮮烈なデビューを飾り、以来、ボーカリストとしてさまざまなステージでその唯一無二の歌声と存在感を示している。
2021年、生まれ故郷であり現在も生活の拠点としている奄美大島が世界自然遺産に登録され、独自の文化「シマ唄」を次世代に受け継いでいく語り部の一人としてもさらなる注目を集める中、奄美の風を感じられる楽曲を集めた『トコトワ~奄美セレクションアルバム~』をリリース。
2022年2月、メジャーデビューから満20周年。
2月2日には待望の新曲『えにしありて』[「いのち、むきだし。奄美大島」CMソング]の配信リリースが決定!

●オフィシャルサイト
https://www.office-augusta.com/hajime/

●配信ライブ
「元ちとせ 20th Anniversary ありがっ様LIVE in ASIVI」
2022年2月6日(日)より期間限定公開
YouTube 元ちとせ 公式チャンネル
https://www.youtube.com/c/hajimechitosee
暖かい奄美大島では、海での行事があったり、冬でも紫外線を浴びることも多くあります。
これまで無頓着だった私に保湿がいかに必要で大切であるかを教えてくれたのがコンシダーマルスキンライズローションです。
取材 コンシダーマルメールマガジン編集部
撮影 萩庭桂太