その症状、自律神経失調症?~自律神経の働きを知ろう。Part1.~

その症状、自律神経失調症?
~自律神経の働きを知ろう。
Part1.~

身体を整えるために、とても大切な機能「自律神経」。

誰もが経験があるのでは?季節や環境に変化があったときなど、動悸や頭痛、めまいや不安感など辛い症状があるので病院で色々と検査してもらうけど異常なし。医師から診断でよく聞く“自律神経失調症”って何?教えて?折茂Dr.!

Q.
随分と前から「自律神経失調症」という言葉をよく耳にするようになりました。そもそもそれはなんですか?病気?

「自律神経」は体温や血圧、呼吸や胃腸機能などを司る神経で、手足を動かしたり歩いたり私達が自分の意志で行う身体の 動作以外 の全てを調節しています。「失調」は文字通り調節を失うことです。自律神経の調節が上手く働かず乱れた状態をいいます。身体のあらゆる機能に乱れが生じますので、倦怠感、動悸、ほてり、めまい、頭痛、便通異常、食欲不振など様々な症状が起こります。調節が乱れる原因は生活リズムの乱れ、運動不足、過度の疲労や寝不足、過剰なストレス、天候や外気温の変化などたくさんあります。

Q.
身体の中で自律神経はなんのために働いているのですか?役割は?

自律神経は身体機能の恒常性を保つために非常に重要です。「恒常性」とは一定の状態に維持することです。例えば、私達の体温が平熱を維持しているのは自律神経のお陰です。また、心臓の働きや呼吸の場合には必要に応じて心拍数や呼吸数を調節しています。もし、自律神経が働かないとしたら、私達自身の意識で心臓を動かしたり、呼吸の量を調節したりする必要があります。少し注意を忘れたら心臓は止まってしまいますから、とても24時間心臓を動かすことは出来ないでしょうね。 自律神経は生命活動に欠かせない のです。

Q.
なるほど!無意識に働いているのが自律神経なのですね。では年代別に自律神経が乱れた時に起こる症状を教えてください。

○思春期:
神経が成長過程のため調節が未熟なことや急な身体的変化のために乱れることが多い時期です。倦怠感や頭痛、動悸、めまいや立ちくらみなどの症状が起こります。朝起きられず学校に行けない「起立性調節障害」は学童期~思春期のお子さんにみられます。

○青年期~壮年期:
20代からでも自律神経の機能が低下する方がいます。社会的なストレスが影響しやすい時期です。下痢や便秘を繰り返す「過敏性腸症候群」、季節の変わり目に起こる「気象病」による倦怠感やめまい・頭痛などがよく知られています。

○中年期~老年期:
40代から自律神経の機能が低下し乱れが生じやすくなります。血圧の急な変動や不整脈による動悸・めまい、胃痛や慢性的な便秘あるいは下痢、発汗異常や手足の冷え、肩こりや関節痛、倦怠感や疲労感、不安感や睡眠障害など様々な症状が現れます。「更年期障害」もホルモンバランスの乱れによる自律神経症状です。

・・・編集部より・・・

「自律神経」というのは私たちが無意識に身体の中で働いているんですね。それが年齢や環境、生活リズムなどの影響で乱れてしまうことで「自律神経失調症」になってしまう。皆さんの中にもこういった症状でお悩みの方もいらっしゃるのでは?大きな病気では?検査をしても異常が見つからず、周りにも理解されにくく不安になってしまうこともあると思います。次号Part2では自律神経失調症の改善・予防方法について伺います。

折茂 政幸
Masayuki Orimo
ウェルネス宮前クリニック 院長
千葉大学大学院修了
医学博士
専門 循環器内科
ヒトの身体は自然の摂理に従っていると僕は考えます。
普段の食事や体を動かすこと、十分な睡眠と過度のストレスを避けることが健康にとってとても大切で、何気ない日常の積み重ねが普段の体調や病気のリスクに大きく影響します。
また、個々の特性、体質はそれぞれ異なりますから、他の方と同じ方法では改善しないことがあります。適切な医学情報をお伝えし、一人一人の体質に合った治療を目指しています。