冬に起こりやすい皮脂欠乏症の原因と治療法

医学用語では「皮脂欠乏症(乾皮症)」と呼ばれます。皮脂の分泌が不足し、肌が水分を保持出来なくなる状態です。いわゆる乾燥肌です。角質が厚くなりカサカサ・ザラザラして、粉をふいて頭皮のフケの様に剥がれ落ち、亀裂ができることもあります。皮膚のバリア機能も低下してしまいます。また、痒みを伴いますので、強く掻くと湿疹ができてしまいます。湿疹を伴うものは「皮脂欠乏性湿疹」と言います。

皮脂は加齢に伴い分泌量が減少しますので、年齢が増すに従い起こりやすくなります。また、空気の乾燥、石鹸による過度の皮脂の除去、摩擦などの物理的な刺激、不適切なスキンケアなども原因です。もともとアトピー性皮膚炎の方や糖尿病の方もなりやすいです。

保湿が最も大切です。保湿効果の高いクリームで保護して下さい。

• 尿素製剤(ウレパール、ケラチナミンなど)：
  角質層の水分補保持する作用
• ヘパリン類似物質：
  血行促進作用
• ワセリン：
  油脂性で水分の蒸発を防ぐ
• 保湿成分のセラミドやヒアルロン酸を含むもの

などがあります。

漢方薬では当帰飲子や黄連解毒湯、温清飲や消風散を使用することがあります。
また、湿疹がある場合はステロイド剤、痒みが強い場合は抗アレルギー薬が必要になることがありますので、皮膚科で相談して下さると良いです。

普段から入浴後に乳液やクリームを使用して肌を整えておくことが重要です。洗顔や入浴時に過度に皮脂を取り除いてしまうことや物理的刺激が強いことも原因ですので、ナイロンタオルで擦り過ぎない様にお願いします。特に乾燥しやすい部位は擦らず掌で洗って下さい。衣類や靴(ブーツ)などで擦れることも注意が必要ですので、あまり締め付けの強いものは避ける方が良いです。また、体温が下がると皮脂の分泌が減少しますので、身体を冷やさないことも大切です。