【コラボ企画・第2回】日本の三大死亡原因の2つが動脈硬化。頸動脈エコー検査編。

【コラボ企画・第2回】
日本の三大死亡原因の
2つが動脈硬化。
頸動脈エコー検査編。

日本人の3大死亡原因はがん・心筋梗塞・脳血管疾患です。中でも心臓疾患(狭心症・心筋梗塞など)や脳血管疾患(脳卒中)は動脈硬化によって起こります。
というわけで、前回は編集部アラフィフ女史で折茂先生のクリニックへ伺い、まずは血液検査をしていただきました。

その結果を受けて、悪玉コレステロール(LDL)が高いことから、動脈硬化の有無、進行具合をチェックしていただくために、今回は頸動脈エコー検査のリポートです。

まずはYから。

検査室へ案内していただきます。今回は、「超音波検査・断層撮影法」という検査だそうです。

エコー検査中は暗室になります。臨床検査技師さんは女性が多いそうです。この機械で何が見えるのかな?これを読めるようになるのは相当な勉強が必要だろうな・・・。なんて感心。横になり、まずは右側から。ジェルをつけたプローブを首に当てて撮影。全く痛みもなく、これで血管が見えるのだから現代は医療同様、機械もどんどん進化してるんですね。
赤い部分が動脈。青い部分が静脈。臨床検査技師さんが丁寧にチェックしてくれます。

 

続いてN。

そして左側も撮影して頸動脈エコー検査は20分ほどで終了。

Q.
頸動脈エコー検査とはどんな検査ですか?
頚動脈の動脈硬化の状態を確認し、脳梗塞や心筋梗塞などの動脈が詰まる(閉塞する)疾患のリスクを評価する検査です。超音波は無害のため身体への負担はなく、安心して行えることが利点です。痛みもありません。検査時間は15~20分程度です。
Q.
検査結果はすぐにわかりますか?
検査結果報告書の作成を当日夜に行っているため、翌日以降でしたら結果をご説明出来ます。ただし、動脈が非常に狭くなっているなど緊急性の高い場合には当日結果を説明し、報告書は後日取りに来て頂くこともあります。
Q.
どんなことがわかりますか?
頚動脈は、全身の他の動脈より早い段階で動脈硬化を起こすことが多いため、動脈硬化の早期発見に繋がります。特に、高血圧症や脂質異常症、糖尿病をお持ちの方は動脈硬化になり易いため、現在の動脈の状態を確認しておいて頂くと良いです。また、治療により動脈硬化が改善する様子を確認することも出来ます。

エコー検査の結果を教えてください。

【編集部Yの総評】
Yさんは高血圧症や糖尿病はありません。中性脂肪が少し高いですが、LDLコレステロールは正常範囲で、HDL(いわゆる善玉)コレステロールが多いため一般的には動脈硬化のリスクは高くないと考えられる血液結果です。ところが、右頚動脈に33%、左頚動脈に45%の動脈硬化がありました。

Y:右の頸動脈に33%の動脈硬化が。

Y:左の頸動脈には45%の動脈硬化が。

写真のカラーの部分は血液の流れを示し、黒い部分が動脈硬化です。動脈硬化によるプラーク(黒い部分)は年齢相応より非常に多く、進行すると脳梗塞を発症する恐れがありますので、積極的な食事管理と服薬による予防が必要です。詳細な血液検査では、レムナントリポ蛋白という「超悪玉」と呼ばれる脂質が多いことが分かりました。加工食品やスナック菓子、ファストフードや揚げ物などに多く含まれますから、これからの食事で控えて頂くと良いです。
意外な結果に驚かれたことと思いますが、ここで最も大切なことは、一度出来てしまった動脈硬化(プラーク)を減らすことが出来るということです。原因となった食習慣の確認を行った後に、動脈硬化に影響の少ない食事内容に変更していきます。血液検査で脂質の変化を確認しながら、改善の度合いを3ヶ月後に頸動脈エコーで確認します。
Y:
ハイ(^^;)検査をしていただくと普段の生活習慣が炙り出されてしまいますね。3ヶ月後、結果がよくなるように折茂先生のご指導をちゃんと聞いて、食事に気をつけます。
【編集部Nの総評】
Nさんも血圧や血糖値は問題ありません。血液検査でLDL(いわゆる悪玉)コレステロールが少し高いため動脈硬化には注意が必要です。実際に、右内頚動脈に14%の動脈硬化がありました。

N:右の頸動脈に14%の動脈硬化が。

写真の青い点線で示された円形が頚動脈ですが、下の灰色部分が動脈硬化(プラーク)です。幸い、軽度の動脈硬化ですので、動物性脂質や揚げ物を控えるなど食事の工夫をして頂き、3~6ヶ月後の再検査で進行の有無を確認しましょう。悪化する場合にはお薬が必要になります。
N:
軽度ということでよかったです。でも油断は禁物ですね。食生活に気をつけます。ありがとうございました!
N:
それから実は気になる症状があります。父が不整脈でカテーテル手術をしています。私も時々、安静時に胸がズキン・チクチクと痛くなったり、動悸があるんです・・・。遺伝的なものも考えると不安で・・・。

とお伝えすると。24時間ホルター心電図と心臓のエコー検査もしてみましょうということに。

ふむふむ・・・。折茂先生が丁寧に説明してくださいます。

Q.
Nさんが24時間ホルター心電図をつけることになった理由を教えてください。
Nさんからは問診の際に左胸部痛と動悸のお話を伺いました。更年期は女性ホルモンの乱れから不整脈が出る方がいますので、動悸は不整脈の可能性があります。また、胸の痛みについては、冠攣縮性狭心症(かんれんしゅくせいきょうしんしょう)と言って、通常の狭心症とは異なり、心臓の血管(冠動脈)が痙攣(けいれん)してしまう狭心症が更年期に起こることがあります。24時間ホルター心電図で、不整脈の種類や発生頻度および狭心症の発作の有無を確認します。

電極を左右の鎖骨下、乳房の下外側、みぞおち(少し左寄り)の5箇所に貼り、記録器を装着。これで24時間いつも通りに過ごして、何か自覚症状が出た時に、いただいた記録用ノートに何時何分にどんな症状が出たかを記入します。ちなみに心電図をつけたままお風呂も大丈夫。最近の機械の性能は驚くことばかり。

Q.
心臓エコーの検査をすることになった経緯を教えてください。
Nさんは胸部の聴診で軽度の心雑音を認めました。心臓には逆流を防止するための4つの弁(扉のようなもの)があります。心雑音はこの弁の開閉に異常がある場合に起こります。高血圧症の方は心臓弁膜症のリスクが高くなります。Nさんは高血圧症ではありませんが、心臓エコー検査で現在の状態を確認しておきます。
N:
心臓に何か異常があるのは怖いですね。是非検査をお願いします。

次回は編集部Nの24時間ホルター心電図と心臓エコーの結果をリポートします。


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折茂 政幸
Masayuki Orimo
ウェルネス宮前クリニック 院長
千葉大学大学院修了
医学博士
専門 循環器内科
ヒトの身体は自然の摂理に従っていると僕は考えます。
普段の食事や体を動かすこと、十分な睡眠と過度のストレスを避けることが健康にとってとても大切で、何気ない日常の積み重ねが普段の体調や病気のリスクに大きく影響します。
また、個々の特性、体質はそれぞれ異なりますから、他の方と同じ方法では改善しないことがあります。適切な医学情報をお伝えし、一人一人の体質に合った治療を目指しています。