物忘れと認知症の違いは?

物忘れと認知症の違いは?

最近、両親の認知機能が心配。

コンシダーマル世代は夫や自身の両親の介護などをしている方も多い世代。
物忘れと認知症の違いとは?病気だった場合どんな対処をすればいいの?教えて?折茂Dr.!

Q.
両親が高齢に伴って同じことを何度も言うので心配です。これは認知症ですか?それとも物忘れですか?

同じ言葉や言動を繰り返すのは認知症や軽度認知障害(MCI)の可能性が高いです。物忘れは加齢による記憶力の低下で必ずしも病気ではありません。一方、認知症は何らかの原因で脳の機能が低下し日常生活に支障をきたす病的な状態です。認知症の初期には物忘れと似た症状のため判別が難しいですが、物忘れの場合には体験したことの一部を忘れることが多く、認知症は体験したこと自体を忘れてしまいます。

Q.
認知症はどうしてなるの?

認知症症状が出現する代表的な病気は、「アルツハイマー型認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症」「脳血管性認知症」「正常圧水頭症」「慢性硬膜下血腫」など複数存在します。アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症は異常なタンパク質が脳の神経細胞に蓄積することで起こります。脳血管性認知症は動脈硬化によって脳の血流が悪くなることが原因です。慢性硬膜下血腫は転倒などで頭部を打撲した後に形成された血腫(血の塊)が脳を圧迫することで起こります。

Q.
物忘れはどうしてなるの?

物忘れとは記憶力(認知機能)の低下を指します。何らかの病気が原因ではないため誰にでも起こり得る自然な現象と言えます。脳の老化が原因の場合は、加齢と共に脳細胞が変性(変化)して徐々に脱落することで脳が委縮し、記憶力や判断力の低下を来します。他には、精神的ストレス、栄養バランスの乱れ、過度の過労や寝不足などでも物忘れが多くなります。

Q.
その時、家族や周りの人はどんな対処をしたらいいですか?

加齢による物忘れは仕方のないことですが認知症が隠れている場合がありますので、気になる症状があれば認知機能検査や頭部MRI検査を受けて下さることをお勧めします。脳神経外科もしくは神経内科で特に認知症・物忘れ外来を行っている医療機関への受診が望ましいです。ただし、認知症と診断されるのが怖いとおっしゃる方もいますので、かかりつけ医から勧めてもらうあるいは地域包括支援センターの相談窓口や認知症コールセンターに相談されると良いと思います。

Q.
コンシダーマル世代の私たち、予防法があったら教えてください。
生活習慣病の管理:
生活習慣病を放置すると脳血管障害が進行してしまいます。

定期的な運動:
運動による脳血流の増加が認知機能を高めます。1日20分の早歩きを。

野菜や果物、魚介類の摂取:
抗酸化作用のポリフェノールやEPA・DHAを摂る。

脳を刺激する:
いわゆる脳トレです。楽しいことをすると脳が活性化します。

早期発見:
認知症は何より早期発見が大切です。気になる症状があれば受診をお願いします。

・・・編集部より・・・

身近な親族にこんな症状があると、どうしたら良いのか分かりませんよね。家族だとつい感情的になってしまうこともあります。他人事ではなくなってくるコンシダーマル世代。私たちの予防も大切ですし、あれ?という症状が見られるご本人の尊厳を守りながら周りがサポートできるように知識と心の余裕を持ちたいものですね。

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折茂 政幸
Masayuki Orimo
ウェルネス宮前クリニック 院長
千葉大学大学院修了
医学博士
専門 循環器内科
ヒトの身体は自然の摂理に従っていると僕は考えます。
普段の食事や体を動かすこと、十分な睡眠と過度のストレスを避けることが健康にとってとても大切で、何気ない日常の積み重ねが普段の体調や病気のリスクに大きく影響します。
また、個々の特性、体質はそれぞれ異なりますから、他の方と同じ方法では改善しないことがあります。適切な医学情報をお伝えし、一人一人の体質に合った治療を目指しています。