「推し活」はオキシトシンが増える?人には聞きにくい更年期世代の性生活パート2

「推し活」は
オキシトシンが増える?
人には聞きにくい
更年期世代の性生活パート2

前回は男女ともに現れる更年期障害。
人間の3大欲求の一つである「性」が遠のいてしまうのはどうしてか?この時期の性生活はメンタルやホルモンバランスを整えることの大切さを教えていただきました。

今回は具体的なメリット、デメリットを伺いました。

Q.
更年期世代が性生活を行うことのメリットはなんですか?

必ずしもメリットを考えて行うという訳ではありませんが、「幸せホルモン」と言われるオキシトシンやセロトニンの分泌が増加し、コルチゾール(ストレスホルモン)の減少によるストレス軽減、睡眠の改善、血圧低下、心臓病や脳卒中のリスク軽減など多数の報告があります。女性の場合には、尿漏れや頻尿の原因となる骨盤底筋群の衰えを予防し、マッサージ効果による血行改善や膣分泌液の増加による細菌感染の予防など。男性は前立腺がんのリスクを軽減するという報告もあります。

Q.
逆にデメリットはありますか?
女性は膣粘膜の萎縮(萎縮性膣炎)による性交痛や出血が起こることが考えられます。分泌液の低下が原因であればゼリーなどの潤滑剤が必要なことがあります。外科的な処置やホルモン補充療法などの適応がある場合もありますので、婦人科で相談されると良いと思います。
男性は身体的なデメリットは無いと考えられていますが、ED(勃起不全)で性生活が上手くいかないことがある場合には精神的ストレスが蓄積してしまう可能性があります。
Q.
キスやハグだけでもオキシトシンが出るそうですね。
その通りです。オキシトシンは脳の下垂体から分泌されるホルモンで、女性では妊娠・出産に関連するホルモンですが男性にも存在し、不安を和らげ幸福感をもたらす働きがあり「幸せホルモン」と呼ばれます。2005年にオキシトシンが人への信頼感を増すという報告が世界的な医学雑誌に掲載され、男女間や親子関係において重要なホルモンであると認識されるようになりました。また、心臓の負担を軽減し、痛みの緩和や食欲を抑える作用もあります。
オキシトシンの分泌を増やすには「身体や心が気持ち良い」と感じることを行うことです。特に触覚(接触)によって刺激されますのでスキンシップやマッサージが効果的です。マッサージに関しては、面白いことにマッサージを受ける側だけでなく行う側もオキシトシンが分泌されます。他には、楽しい会話や動物との触れ合い、スポーツ、人に親切にすることでもオキシトシンの分泌が高まります。
Q.
興味の対象が妻・夫ではなくなったという方も多くいらっしゃいます。そんな時の改善法は?
可能であればご主人や奥様といつまでも仲睦まじいと良いですね。定期的な性生活はオキシトシンの作用も手伝って愛情深い関係を形成します。性生活の利点の一つにプロポーションの維持があります。相手からどう見られるか、少しでも魅力的に見られたいという意識からプロポーションに気を遣うようになるということです。先ずは、お互いに出会った頃相手のどんなところに魅力を感じたかを思い出してみて下さい。見た目に関することについては相手から魅力的と思われる様に改善や工夫に取り組んで下さると良いです。
それが難しいようであれば、対象はお子さんや好きなタレントさんでも良いので、お子さんとのスキンシップや流行りの「推し活」でも効果は抜群です。遊園地のアトラクションなどでドキドキすることでも良いです。また、マッサージに関しては性的対象でなくてもオキシトシンが分泌されますので、マッサージに通うという方法もあります。

・・・編集部より・・・

パートナーとのスキンシップや性生活が続けられるのは理想的。でもそうは言ってもなかなかね・・・と言う場合のオキシトシンを分泌させる方法として「推し活」が有効なのは嬉しいことですね。おしゃれをしてコンサートへ行くことなど、楽しみながらホルモンバランスは整えることができるのです。もちろん、ペットやお子さんとのスキンシップも有効的。「オキシトシン効果」は平和へも繋がりそうですね!

/// お知らせ ///

『教えて?折茂Dr.!』のコーナーでは皆さんからの質問、ご相談を募集しています。健康のお悩み、身体やお肌の心配事などお寄せください。
ご相談はInstagramをフォロー&いいね!の後DMへ質問、ご相談内容をお送りください。

コンシダーマルは皆様の美容と健康を応援します!

折茂 政幸
Masayuki Orimo
ウェルネス宮前クリニック 院長
千葉大学大学院修了
医学博士
専門 循環器内科
ヒトの身体は自然の摂理に従っていると僕は考えます。
普段の食事や体を動かすこと、十分な睡眠と過度のストレスを避けることが健康にとってとても大切で、何気ない日常の積み重ねが普段の体調や病気のリスクに大きく影響します。
また、個々の特性、体質はそれぞれ異なりますから、他の方と同じ方法では改善しないことがあります。適切な医学情報をお伝えし、一人一人の体質に合った治療を目指しています。