正しくは“免疫機能を正常に保つ”こと。

正しくは
“免疫機能を正常に保つ”こと。

免疫力をつけるとか、免疫力が強い、弱いというけれど、免疫というのはつくもの?
教えて?折茂Dr.!

Q.
免疫がある・ない、強い・弱いと言いますが、どういうこと?
いわゆる「免疫がある」というのは前回お話しした通り、獲得免疫の働きによるもので、免疫がある特定の異物を記憶し速やかに対処できるようになった状態です。逆に、これまで経験したことがない異物に対しては「免疫がない」ということです。
「免疫力が強い・弱い」という表現は解釈が少し難しいです。なぜなら、免疫機能の強さを測定する単一の指標は存在しません。免疫機能には様々な細胞が複雑に関わっているため、ある特定の数値から免疫機能の強弱を評価することが困難だからです。また、「免疫力」は医学用語ではなく、「免疫力を上げる方法」も明らかに定義することが出来ないのが現状です。つまり、「免疫力を上げる」という表現は適当ではなく、「免疫機能を正常に保つ」ことが重要です。免疫機能が正常に働かないと感染症のリスクが高くなり、偶発的に発生する癌細胞を排除することが出来なくなります。
Q.
免疫機能を正常に保つには?
食事・運動・睡眠・ストレスの管理が大切です。

  1. 食事から得られたタンパク質は免疫細胞を構成し、ビタミンCは白血球の機能を高めます。また、免疫細胞の約6割が腸に存在します。腸内環境が免疫機能に影響する可能性が報告されていますので、食物繊維や発酵食品など善玉菌の働きを助ける食品の摂取が大切です。
    ただし、新型コロナウイルス感染症の流行で「免疫力」という言葉を耳にする機会が多くありましたが、特定の食品や栄養素が新型コロナウイルス感染症を予防する効果があることは現時点ではまだ確認されていません。
  2. 運動不足や過度の運動は免疫機能の乱れを引き起こします。軽く息が弾む程度の適度な運動習慣が望ましいです。
  3. 睡眠時間が5時間以下あるいは不眠症だと感染症のリスクが約5倍に上昇するという報告があります。睡眠は免疫機能を助ける免疫物質(サイトカイン)の分泌を促進します。5時間以上を目安に睡眠の確保をお願いします。
  4. ストレスは免疫機能を低下させ、感染症のリスクを高めます。ストレスホルモンの「コルチゾール」が関与していると考えられていますので、ストレスを溜めないようにご注意下さい。
*免疫力とは医学用語ではありません。正しくは免疫機能です。
Q.
免疫機能が正常だと自覚できる時はありますか?
この冬の診療で3ヶ月間にコロナウィルス感染症とインフルエンザA型・B型全てに感染した患者さんがいました。今年は気温の変動が大きい冬でした。体温調節に大きな負担がかかったと思われますが、体温の低下や体温調整の不具合によって免疫機能が低下しますので、おそらく免疫機能が低下していたと考えられる例です。逆に、最近体調がよく風邪をひかなくなったという方であれば、免疫機能が正常に保たれていると考えて良いと思います。
Q.
免疫の乱れによる肌への影響は?
肌は外界からの様々な刺激に対するバリアとしての役割があります。この防御機構は免疫の働きで成り立っています。肌荒れやニキビ・湿疹、アトピー性皮膚炎や蕁麻疹などのアレルギーも免疫機能の異常が関与していますので、「免疫機能を正常に保つ」ことが「肌の健康を保つ」ためにも重要です。

・・・編集部より・・・

初めて経験することや苦手なことを私たちは「免疫がないから」という表現をすることがありますよね。実際に身体の中でこれまで経験したことのない異物、例えばウイルスや菌が入ってくるとそれに対しての免疫を私たちは持っていないので何かしらの症状を発症することになります。免疫は強い、弱いということではなく、自分自身の免疫力を正常に保つこと、バランスが大切なんだということがわかりました。つまり、免疫力とは誰かと比較するものではなく自分自身の免疫が正常に保たれていることが健康ということなんですね。

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折茂 政幸
Masayuki Orimo
ウェルネス宮前クリニック 院長
千葉大学大学院修了
医学博士
専門 循環器内科
ヒトの身体は自然の摂理に従っていると僕は考えます。
普段の食事や体を動かすこと、十分な睡眠と過度のストレスを避けることが健康にとってとても大切で、何気ない日常の積み重ねが普段の体調や病気のリスクに大きく影響します。
また、個々の特性、体質はそれぞれ異なりますから、他の方と同じ方法では改善しないことがあります。適切な医学情報をお伝えし、一人一人の体質に合った治療を目指しています。