花粉症の季節にも知っておきたい 「免疫力」のお話、第1弾 |
花粉症の季節にも知っておきたい「免疫力」のお話、第1弾。 |
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Q.
免疫とは身体にどんな作用をしているの?
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免疫はウイルスや細菌などの外来病原体から身体を守る働きを担っています。また、癌など体内の異常な細胞を異物として排除するのも免疫の働きです。日々の生活で口や鼻から毎日異物が侵入しますし、健康なヒトでも癌細胞は1日に5000個も発生していると言われていますので、私たちが感染症や癌にならずに毎日を過ごせるのは免疫の働きのおかげです。
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Q.
免疫はどんな種類がありますか?
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免疫には役割の違う2種類があります。
①「自然免疫」 身体にもともと備わっている免疫システムで、異物が侵入した際に最初に働きます。 ②「獲得免疫」 自然免疫で対処しきれない場合に働きます。自然免疫よりも異物の特徴を細かく見分けることが出来ます。また、侵入してきた異物を記憶し、再び侵入した際に初回よりも迅速に対応することが可能になります。 免疫機能には様々な細胞が関わっていますが、代表的には好中球やリンパ球、マクロファージといった白血球です。 |
Q.
花粉症と免疫力の関係は?花粉症の対策を教えて?
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花粉が体内に侵入すると免疫が異物(抗原)として認識し抗体を作ります。抗体は免疫細胞の一つであるマスト細胞に結合し、ヒスタミンやプロスタグランジンなどのアレルギー誘発物質が放出されることにより粘膜の充血や鼻水などのアレルギー反応を引き起こします。本来、花粉は人体に影響が少ないため免疫が抗体を作り過ぎなければアレルギー反応は軽く済むのですが、免疫機能のバランスが崩れ花粉に対して過剰に反応すると症状が悪化します。
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Q.
花粉症の対策は?
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1960年代に大量に植林された杉により大量に花粉が飛散することが原因と考えられています。ちなみに、日本ではスギ・ヒノキ花粉症が有名ですが、アメリカではブタクサ花粉症、ヨーロッパではイネ科のカモガヤ花粉症が主流です。対策として最も重要なのは、大量の花粉に接触しないことです。
①マスクの装着: 一般的なマスクでも口や鼻からの花粉の侵入を70%程度減少されると考えられています。この時、出来るだけ顔に密着し肌との隙間が無いように装着することで効果が高まります。 ②室内に花粉を入れない: 外出時の服装は花粉が付着しにくいビニール素材のもの着用し、玄関に入る前に花粉を払い落とすこと。帰宅後は着ていたものは洗濯機へ。先ず入浴(あるいはシャワー)と洗髪を行い、室内用の衣服に着替えて頂くと良いです。室内はこの時期に換気をすると逆効果ですので、空気清浄機のスイッチもお忘れなく。 また、前述の通り免疫機能のバランスが崩れると症状が悪化します。普段から「免疫機能を正常に保つ」ことが重要となりますが、話が長くなりましたので続きは次号に。 |
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折茂 政幸
Masayuki Orimo ウェルネス宮前クリニック 院長 千葉大学大学院修了 医学博士 専門 循環器内科 ヒトの身体は自然の摂理に従っていると僕は考えます。 普段の食事や体を動かすこと、十分な睡眠と過度のストレスを避けることが健康にとってとても大切で、何気ない日常の積み重ねが普段の体調や病気のリスクに大きく影響します。 また、個々の特性、体質はそれぞれ異なりますから、他の方と同じ方法では改善しないことがあります。適切な医学情報をお伝えし、一人一人の体質に合った治療を目指しています。 |
2024.03.01